01.明治・大正・昭和の手刷り「木版画

『古今和歌集』木版画コレクション


総歌数1100首の日本美のバイブル『古今和歌集』。20の部立で構成された歌集は「四季(6部)」と「恋(5部)」が全体の半数以上を占めています。
この二つは、以後の日本文化の二大関心事になりました。移り行き、決して留めることのできないものへの憧れ。歌人・紀貫之、壬生忠岑、在原業平たちが選者が、追求した日本文化の理想美を追求した傑作です。
そんな『古今和歌集』の歌と、それをイメージした意匠で表現した木版画。浮世絵版画の流れをくむ職人たちによる、明治から大正、昭和初期にかけての多色槢木版です。図案、彫り、刷りまですべて手仕事の美しさは大変希少なものです。


[01-001] 古今和歌集「几帳」
几帳は、平安時代の家具の一つで空間を仕切るために使われました。2本の柱に横木を渡し、花鳥や秋草など、美しい文様が描かれた帳<とばり>と呼ばれる布をかけるという作りでした。そのような豪華な几帳を持つことができたのは、ごく限られた人だったため、吉祥文様になったと言われます。
[01-002] 古今和歌集「犬筥(いぬばこ)」
女の子の幸福を願う雛飾りの中に「犬筥」という雌雄一対の犬の箱があり、魔除けや厄除けの象徴とされていました。雄犬の中にお守りを、雌犬の中に化粧道具を入れます。天皇の玉座の狛犬がルーツと考えられ、内裏雛に飾られる風物になったと言われています。
[01-003] 古今和歌集「花車」
草花の籠を乗せた車や、御所車、源氏車の車輪に花を配したものなど、様々な表現がある花車文。修学院離宮の七宝釘隠や名古屋城の杉戸などに古い形式が見られます。衣装には江戸時代の唐織に段格子花車文や、小袖などがあり、現代でも訪問着などに用いられています。
[01-004] 古今和歌集「薬玉」
室内の不浄を払い邪気を避けるために吊るすのが薬玉。麝香(じゃこう)や沈香を玉にして錦の袋に入れ、菖蒲や蓮の葉、または造花を飾りつけて、五色の糸を長く垂らしたものをいいます。後に、様々な花を飾りつけしたものも薬玉というようになりました。
[01-005] 古今和歌集「花籠」
花籠文は単に花の美しさだけを表現した文様ではなく、古代中国から伝わる伝説から、花籠が美しい仙女を象徴するものとされ、画や陶器、蒔絵、そして小袖の文様に使われました。現代でも古典的意匠として晴着にとり入れられています。
[01-006] 古今和歌集「手毬」
手毬文はぜんまいの綿やおが屑を芯に、綿糸を巻きつけたもので、江戸後期には五彩の絹糸で巻いた装飾的なものが作られ、御殿毱と呼ばれて流行しました。色彩の華やかさと愛らしさが好まれ、特に子どものきものや染帯に、多く使われてきました。
[01-007] 古今和歌集「楽太鼓」
古典の楽器は美しいもので、染織品に使うときは極彩色に彩ります。楽太鼓の典雅な形には品格があり、賀詞に向く文様です。宮中の典雅さを表現する華やかなデザインです。

額装や屏風、軸などお好みで表装します。

表具師/村山秀紀
1952 東京に生まれる
1983 京都、立入好和堂にて表具師として修行を始める
2001 「楽園の更紗展」玉川高島屋
   「古布に遊ぶ」ワコール銀座アートスペース
2002 「室礼に遊ぶ」ワコール銀座アートスペース
2004 「KU.SEN.MA」New York MEDIALIA
「グラフィック+京表具」京都平安画廊
「グラフィック+京表具」銀座アルトン
「室礼に遊ぶ」ワコール銀座アートスペース
2006 「交叉する技と感性」ワコール銀座アートスペース
2007 「異国浪漫に遊ぶ」京都アートスペース感
2008 「交叉する技と感性」ワコール銀座アートスペース
2009 「ぎやまんとあそぶ」京都アートスペース感
2010 「異国浪漫に遊ぶ」六本木ルベイン
2011 「異国浪漫に遊ぶ」京都アートスペース感
2012 「TATEGU」Mirano salone
「裂に遊ぶ」六本木 ルベイン
2013 「吉祥の室礼に遊ぶ」京都アートスペース感

伝統技術を現代の生活様式に活かす、表具師 村山秀紀の表装で創作します。


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